愛してるよ、全て。



※微裏注意

(「愛しいよ、その震える瞳や抵抗さえも。」の続き)





聞こえるのは荒い息遣いと、音をたてるベッドのきしみ。
自分の下でシーツへと沈み落ちていく彼女は、少しだけ身体を震わせていた。
絡められている左手をきゅっと握り締めると、弱弱しくもしっかりと握り返してくれる。
時々耳元を撫で上げるように名前を呼ぶと、びくりと肩が跳ね上がって、それから涙をいっぱい溜めた瞳をこちらに向けてくる。
小さく息を吐き出して、自分の手元にあるシーツを何度も掴みなおしていた。

「リタ」

…18歳の誕生日には何が欲しい?、少し前にそう聞いたら彼女は俺の名前を呟いた。
3年前に言われた言葉を俺はずっと守っていて、もちろんそれは彼女を傷つけたくないからでもあったし、何よりも行為を交わさなくても俺は十分満たされていたからでもあった。
それでも彼女は何度もありがとう、という言葉と一緒にごめんね、と言い続けた。
俺は側にいてくれるだけで十分、とは言えなかった。
なぜなら自分が男で、彼女がもう少女ではなくなっていたから。
それに独占欲、というのだろうか。
俺には全てを自分のものにしたい、という欲が強すぎて、この3年間の間に抑えが効かなくなることが何度かあって、その度に彼女は申し訳なさそうにしていた。
けれど俺の心は本当に彼女の存在だけで満たされていて、それを伝えてもやっぱり不満そうな笑みを浮かべるだけで、結局今日、こういうことになってしまったわけだけれど。
それでも、彼女が受け入れてくれることにすごく喜びを感じるし、とても幸せだ。

「何、考えてんのよ」
「ん?」

少し赤く染まっている顔を片手で隠しながら目で訴えてくる。
溜まっていた涙が頬に線を描いていて、それを拭いながら小さな唇にキスを落とした。

「…今は、あたしのこと、だけ考えてよ」
「リタのこと考えてたよ」

あっそ、と返事をしてすぐに顔を反らして目を瞑る。
普段は絶対に言わないような言葉を今言ってくれるだけでとても嬉しい。
痛みしか与えることができないかもしれない。
けれどもしかしたら彼女も、リタも、これで安心できるかもしれない。
もしかしたら彼女もこれで、満たされるかもしれない。

「…愛してるよ」

そう言ってからもう一度キスを落とす。
リタはシーツに顔をうずめてからあたしも、と答えてくれた。
繋がれている左手をもう一度強く握り締めて、リタごとまた深くベッドへと沈みこんだ。





3 years later.
(もう全てが俺のものになった)








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